今さら聞けないWebフォントの基本のキ
──文字が“画像”から“データ”へ変わった理由と、これからの使い方
かつて、フォントは「画像」で表現されていた
少し前まで、Webデザインで装飾的な文字を使いたいときは、
その部分を画像にして貼り付けるのが当たり前でした。
理由は単純。
ブラウザに依存せず、誰の画面でも同じ見た目にできるから。
でも同時に、検索エンジンからは読まれない、
更新がしづらい、
ページの読み込みが遅くなる――
そんな問題も抱えていました。
SEOやアクセシビリティの意識が高まり、
「テキストとして表示しながらデザインも保ちたい」
というニーズが生まれたことで、Webフォントが注目されるようになったのです。
Webフォントとは?──文字データをネット経由で読み込む仕組み
Webフォントは、ブラウザが外部サーバーからフォントデータを読み込み、そのデザインのまま文字を表示する技術です。
利用者の端末にフォントが入っていなくても、指定されたフォントでテキストを表示できる。
これによって「デザイン性」と「可読性」を両立できるようになりました。
普及の背景には、技術と環境の進化があった
Webフォントが一般化したのは、2000年代後半〜2010年代の“ブロードバンド化”と“SEO重視”の流れが大きな要因です。
通信速度の向上でフォントデータを読み込む負荷が減り、検索エンジンがテキスト情報を重視するようになったことで、画像文字を使うメリットが薄れていきました。
さらに、アクセシビリティの観点からも、テキストとして読める構造が求められるようになり、Webフォントの導入は「デザインのこだわり」と「社会的要請」の両面から進化していきます。
フォントの提供方法の変化:ローカルからクラウドへ
かつては、企業や制作会社が購入したフォントをサーバーに置いて読み込む「自前ホスティング」が主流でした。しかしライセンスや利用制限の問題が複雑で、扱いが難しい側面も。
その後、クラウド型のフォントサービスが登場します。
Typekit(現Adobe Fonts)やモリサワの「Webフォントサービス」、そして最大のインパクトを与えたのがGoogle Fontsの登場です。
Google Fontsは、無料で多言語対応フォントを提供し、Webフォントのハードルを一気に下げました。軽量・高品質でライセンスも明確。制作会社や開発者が気軽にフォントデザインを取り入れられる時代が訪れました。
Webフォントの注意点:ライセンスを軽視しない
便利な反面、フォントのライセンス違反は今も多く発生しています。
たとえば以下のようなケースです。
- 商用利用が禁止のフォントを、企業サイトで使用している
- デスクトップ用フォントをそのままWebフォントとしてアップしている
- 無料フォントを「改変して再配布」している
フォントは「著作物」です。
使用には必ずライセンスの確認が必要であり、「Webで使っていいフォントなのか」「配布元が許可している形式なのか」を確認することが基本です。
MARUTTOでのWebフォント利用方針
MARUTTOでは、デザイン再現性とライセンス遵守の両立を最優先にしています。
基本方針
- 商用利用が許可されたフォントのみ使用(Google Fontsなど)
- クライアント保有ライセンスの確認(モリサワ・フォントワークス等)
- 必要に応じて自前ホスティングを実施(パフォーマンスと管理性を考慮)
- 読み込み速度の最適化(フォントサブセット化や遅延読み込み対応)
「見た目を整えるためにリスクを取る」のではなく、“正しく・速く・美しく”使うというのがMARUTTOの姿勢です。
Webフォントの未来──より自由に、より軽く
これからのWebフォントは、単なる“見た目のための装飾”ではなく、ブランド体験の一部として扱われるようになるでしょう。
可変フォント(Variable Fonts)の登場により、太さや字間などを1つのデータで柔軟に変化させられる時代になりました。パフォーマンスを犠牲にせず、デザイン性と読みやすさを両立する技術が進化しています。
文字にも「伝わり方のデザイン」を
フォントは、言葉の“声”のようなもの。
同じテキストでも、フォントが変わるだけで印象はまったく違います。
Webフォントの活用は、情報の伝わり方そのものをデザインする行為。
そして、MARUTTOはその一文字一文字に責任を持ちながら、正しいライセンスと美しい実装で、見えない部分の品質を支えています。